竟成法律事務所のブログ

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【裁判例メモ】未成年の顧客に対するホストクラブからの請求が無効とされる場合について

出典

東京地判平成25年1月17日LEX/DB25510460

 

担当裁判官

佐々木清一

佐々木 清一 | 裁判官 | 新日本法規WEBサイト
https://www.sn-hoki.co.jp/judge/judge1247/

 

判決文抜粋

「Aはホストクラブであり,その営業は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)における風俗営業(同法2条1項2号)に当たり,風俗営業を営む者は,18歳未満の者をその営業所であるホストクラブに客として立ち入らせることを刑罰をもって禁止されている(同法50条1項4号,56条,22条5項)。そうすると,風営法において,客として立ち入らせることが禁止されていることからすれば,風俗営業を営む者は,18歳未満の者に,風俗営業の営業所であるホストクラブにおいて,飲食等のサービスを提供することも,客として立ち入らせることの一環として,刑罰をもって当然に禁止されているというべきであるから,18歳未満の者とホストクラブの経営者との間の,ホストクラブにおける飲食等の提供に係る契約は,公序良俗に反するものとして無効である(民法90条)。」

 

「ただし,風俗営業を営む者が,客として立ち入らせようとする者が18歳未満の者である場合に,その者について,18歳未満の者でないことを十分に確認し,18歳未満の者でないと誤信したことがやむを得ないといえるような特段の事情がある場合には,前記ホストクラブにおける飲食等の提供に係る契約が,公序良俗に反するとまでいえないという余地もあるが(以下略)」

※ この裁判例は、成年年齢引き下げ前(成年=20歳)の事案です。

 

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【医師法・歯科医師法】応召義務に関するメモ

今回のテーマ

今回は、医師法及び歯科医師法が定める「応召義務」に関する備忘録的なメモです。

尚、一般には応召義務と呼ばれますが、応召義務という名称は適切ではなく、「応需義務」という表現が適切という指摘は古くから存在します。この点について、磯崎辰五郎先生は次のように述べられます。

「この義務のことを『応招』義務と呼ばれることがあるが、それだと、往診に応ずる義務だけのように誤解されるおそれがあって、適当でない。」*1

*1:磯崎辰五郎『衛生法』(有斐閣、昭和38年)144頁脚注1。

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法定離婚事由「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」について

今回のテーマ

離婚について協議が成立しない場合、現在の実務では、離婚の訴えを提起することになります。

そして、「どのような場合に離婚の訴えが認められるか?」(裁判所が強制的に離婚を命じることができるか)について、民法770条は次のように定めています。

 

(裁判上の離婚)第770条
1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
 三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

 

今回は、この民法770条1項4号「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」を取り上げます。

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審判前の保全処分で子の引渡しが認められた場合、直接強制をするためには、いつまでに何をすれば良い?(執行の着手論)

今回のテーマ

今回のテーマは、審判前の保全処分で子の引渡しが認められた場合、直接強制をするためには、いつまでに何をすれば良いのか?です。

 

解釈論としては、家事事件手続法109条3項民事保全法43条2項の問題です。

審判前の保全処分たる子の引渡しにおいて、いわゆる「執行の着手」としてどこまで必要か、という論点となります。

 

(審判)
家事事件手続法109条3項

審判前の保全処分の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。この場合において、同法第四十五条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。

 

保全執行の要件)
民事保全法43条2項

保全執行は、債権者に対して保全命令が送達された日から二週間を経過したときは、これをしてはならない。

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「誹謗中傷とは何か? 正当な批評とは何が違うのか?」に関するメモ

■今日のテーマ

今日のテーマは、「誹謗中傷とは何か? 正当な批評とは何が違うのか?」という疑問に関する備忘録的なメモです。

 

あくまで備忘録的なメモであり、この記事を御覧になれば、誹謗中傷についてエキスパートになれる、というものではありません。

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【民法】第三者弁済をする正当な利益って何?

■今日のテーマ

今日のテーマは、たまに質問を受けることがある「弁済をするについて正当な利益」(民法474条2項)とは何か?です。

特に目新しい事項を記すものではございません。備忘録的記事です。

 

(第三者の弁済)
第474条

1 債務の弁済は、第三者もすることができる。
2 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。
3 前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。
4 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。

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【交通事故】評価損に関する基礎知識

■今日のテーマ

今日のテーマは、交通事故の際に登場する「評価損」について基礎知識を簡単にご紹介する、です。

 

  • ■今日のテーマ
  • ■評価損とは?
  • ■評価損という損害は認められるのか?
  • ■評価損はどのような場合に発生するのか?
  • ■評価損の計算方法
  • ■公式サイト
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