■今日のテーマ
今日のテーマは、交通事故の際に登場する「評価損」について基礎知識を簡単にご紹介する、です。
■評価損とは?
「事故により損傷した被害車両を修理しても,機能や外観に欠陥が残存した場合,又は、事故歴があることにより,商品価値の低下が見込まれる場合における,事故時の車両価格と修理後の車両価格との差額を評価損という。かつては,格落ち損ともいわれていた。」*1
「交通事故により車両が損傷を受けた場合、修理をすることで事故車両が事故前の状態に復するのであれば、修理費の賠償がされることにより損害はてん補されることになる。
しかし、修理をしても、機能や外観に欠陥が残存することがあるし、また、事故歴があること自体によって、隠れた欠陥があるかもしれない、縁起が悪いなどの評価を受け、中古車取引市場での価格が低下することがある。このような、事故による車両の価値の低下を評価損という。」*2
「評価損は、概念的に2種類あるといわれています。
1つは、技術上の評価損です。技術上の限界から修理をしても回復できない欠陥が残存する場合、これを技術上の評価損といいます。
もう1つは、取引上の評価損です。事故歴があるという理由で交換価値が低下したときに発生し、実務上問題になるのは、この取引上の評価損です。
ちなみに事故歴があるために交換価値が低下する場合、何が下がるのかを考えると、結局のところは、私は、下取り価格の低下が評価損の実態ではないかと考えています。」*3
■評価損という損害は認められるのか?
評価損については、特別な法律の定めや判例が存在するわけではありません。
そのため、従来は、評価損が肯定されるか否かについては様々な議論がありました。
そもそも、およそ評価損という損害は存在しないのだ、という見解もありました。
しかし、現在の訴訟実務では、次のように考えられ、一般論として、評価損という概念自体は肯定されています。
「不法行為による物の減失、毀損に対する現実の損害賠償額は、特段の事情のない限り、滅失毀損当時の交換価格によりこれを定めるべきであるところ(最判昭和32年1月31日民集11巻1号170頁)、中古車市場において事故歴や修理歴のある車両の価格が低下することは公知の事実ということができるし、また、評価損も、他の損害と同様、事故時に発生すると理解すれば、これを認めるに当たり、事故車両を売却して価格の低下が具体化。現実化していることまでは要しないと考えることができる。
このような立場から、現在の実務においては、一般論としては取引上の評価損を肯定した上で、具体的な事情に応じて、その有無。金額を判断している」*4
■評価損はどのような場合に発生するのか?
では、一般論として評価損が認められるとして、具体的にどのような場合に評価損は発生するのでしょうか?
この点については、明確な基準があるわけではありませんが、一般に、次の要素が考慮されていると指摘されています*5。
- 車種 …… 高級車や外車ですと評価損の発生は認められやすいです。
- 経過年数・走行距離 ……登録1年以内であれば評価損は認められやすいです。逆に登録から3年を超えてしまいますと一部の高級車以外は評価損は原則として否定されてしまいます。
- 損傷の部位・状態・修理内容
■評価損の計算方法
様々な計算方法がありますが、「実際の修理費用のn%」という計算式で算出されることが多いです。
■公式サイト
※ 大変申し訳ないのですが,無料法律相談は行っておりません。
※ お問合せは下記のお電話 or 弊所サイトからお願いいたします。
竟成(きょうせい)法律事務所
TEL 06-6926-4470