■今日のテーマ
「履行の請求」(民法412条3項)の意義に関する備忘録的記事です。
(履行期と履行遅滞)
第412条
1 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
■意義
「期限の定めのない債務は、債権者は何時でも請求しうるのが原則である(略)。そして、「履行ノ請求ヲ受ケタル時」すなわち催告のあった時から遅滞を生ずる(412条3項)。催告は、債権者が債務者に対してその債務の履行を欲する意思を通知することであるから(略)、示された債務の数額が過大または過少であっても、その履行を欲する債務の同一性がわかれば、催告としての効力をもつ」*1
「債権者の催告は当該債務についてされなければならないが、それは債務の同一性を認識できれば足り、数量または金額などに過不足があってもかまわない(過大な代金額の支払催告について、大判大2・12・22民録19・1052、同昭2・3・22民集6・137)。債権者が催告にあたって、「10日以内に」とか「月末までに」というように一定の期間を定めた場合には、その期間を徒過すれば直ちに遅滞となる。催告は、債務者に到達すれば、その方法はこれを問わない。たとえば、給付訴訟の訴状の送達や督促手続による支払督促の送達は、催告と同一の効力を生ずる。訴状の送達があれば、訴えの提起が訴訟上無効であっても、またその訴えが後に取り下げられても、催告の効力には影響がない(大判大2・6・19民録19・463)。」*2
■私見 & 関連する裁判例
訴状や支払督促の送達は「履行の請求」(民法412条3項)に当たる(争いがない)。
もっとも、詰まるところ債務の履行の意思を通知すれば足りる(手段・方式は問わない)のであるから、訴状や支払督促に限らないと考えられる。例えば、民事保全の場合も、書面が送達されれば、履行の請求が為されたと言えるのではないか(参考:東京高判平成4年2月17日判タ786号186頁)。
■備考
民法412条3項については、債権法改正で特段の変更は行なわれていない。
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