竟成法律事務所のブログ

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【民法】契約の解除と契約の個数に関するメモ(多角契約)

今回のテーマ

今回のテーマは、ある取引で複数の給付が予定されていた場合において、一部の給付について不履行があった場合の解除の可否、です。

 

【問題】

例えば、美術作品①~④を購入するという取引を行なった場合において、美術作品②の取引について不履行があったとき、解除はどの範囲で可能なのか?という問題です。

 

今回の記事は備忘録的内容となります。

 

回答

美術作品①~④を購入するという取引において成立したのが1つの契約なのか、4つ(あるいは複数)の契約なのかを考えます*1

 

 

1つの契約と考えるべき場合

1つの契約と考えるべき場合は、美術作品②の不履行によって、契約全部を解除できるか否かを考えます。

この場合、判例最判昭和36年11月21日民集15巻10号2507頁など)に従えば、契約目的が達成できるか否かという基準で考えることになります。

 

 

複数の契約と考えるべき場合

他方、4つの契約と考えるべき場合は、美術作品②に関する契約解除によって、他の美術作品の契約をも解除できるか(解除の効力を及ぼしうるか)を考えます。

この場合、判例最判平成8年11月12日民集50巻10号2673頁)に従えば、美術作品②の解除原因を波及させる正当化事由の有無を考えることになります。

 

 

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*1:こうした考え方については様々な文献がありますが、例えば、民法(債権法)改正検討委員会編『詳解・債権法改正の基本方針Ⅱ』(商事法務、2009年)320頁以下、山本豊「契約」判タ949号(1997年)51頁など参照。