今回のテーマ
今回のテーマは、仮差押をした場合に供託する保証金(裁判上の保証供託)の取戻請求権の消滅時効です。
実務家向けの備忘録です。
尚、供託手続に関する基本的な知識については、例えば法務省の以下のサイトを御覧ください。
供託実務の考え方
供託実務では、次のように考えられています*1。
民事訴訟法79条1項の場合
民事訴訟法79条(担保の取消し)
1 担保を立てた者が担保の事由が消滅したことを証明したときは、裁判所は、申立てにより、担保の取消しの決定をしなければならない。
2 担保を立てた者が担保の取消しについて担保権利者の同意を得たことを証明したときも、前項と同様とする。
3 訴訟の完結後、裁判所が、担保を立てた者の申立てにより、担保権利者に対し、一定の期間内にその権利を行使すべき旨を催告し、担保権利者がその行使をしないときは、担保の取消しについて担保権利者の同意があったものとみなす。
4 第一項及び第二項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法79条1項に基づく担保取消決定が確定した場合は、担保の事由が消滅した日が消滅時効の起算点として取り扱われています。
典型例は、本案訴訟において全部認容判決があるなど、供託者が全部勝訴した判決が確定した日です。
民事訴訟法79条2項・3項の場合
民事訴訟法79条(担保の取消し)
1 担保を立てた者が担保の事由が消滅したことを証明したときは、裁判所は、申立てにより、担保の取消しの決定をしなければならない。
2 担保を立てた者が担保の取消しについて担保権利者の同意を得たことを証明したときも、前項と同様とする。
3 訴訟の完結後、裁判所が、担保を立てた者の申立てにより、担保権利者に対し、一定の期間内にその権利を行使すべき旨を催告し、担保権利者がその行使をしないときは、担保の取消しについて担保権利者の同意があったものとみなす。
4 第一項及び第二項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法79条2項または3項に基づく担保取消決定が確定した場合は、その確定日が消滅時効の起算点として取り扱われています。
民事保全規則17条1項・4項の場合
民事保全規則17条(担保の取戻し)
1 保全執行としてする登記若しくは登録又は第三債務者に対する保全命令の送達ができなかった場合その他保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかである場合において、法第43条第2項の期間が経過し、又は保全命令の申立てが取り下げられたときは、債権者は、保全命令を発した裁判所の許可を得て、法第14条第1項の規定により立てた担保を取り戻すことができる。
(略)
4 債務者は、第一項の担保に関する債権者の権利を承継したときは、保全命令を発した裁判所の許可を得て、その担保を取り戻すことができる。
民事保全規則17条1項・4項に基づく担保取消決定が確定した場合は、民事保全法43条2項の期間経過日や保全命令申立ての取下日などが起算点として取り扱われています。
公式サイト
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