今回のテーマ
今回のテーマは簡易裁判所(簡裁)の許可代理人とは何か? どんな場合に許されるのか?です。
尚、今回のテーマは「簡易裁判所(簡裁)」の許可代人であり、「家庭裁判所(家裁)」の許可代理人の話ではありません。よく似ていますが別物ですので、ご注意ください。
許可代理人とは?
民事訴訟を自分ではなく、第三者に代理で行なってもらう場合、その「第三者」は、原告として弁護士でなければなりません(民事訴訟法54条1項本文)。
ただし、例外的に、簡易裁判所(簡裁)では、裁判所の許可を得て、弁護士以外の者に代理人(訴訟代理人)をお願いすることができます。この許可を受けた代理人のことを「許可代理人」といいます(民事訴訟法54条1項ただし書き)。
民事訴訟法54条(訴訟代理人の資格)
1 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。ただし、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。
2 前項の許可は、いつでも取り消すことができる。
許可代理人になる典型例としては、本人の同居の親族が代理人になる場合や、本人が会社でその従業員が代理人になる場合などがあります。
許可代理人という制度が設けられた理由(制度趣旨)
この許可代理という制度が設けられた理由については、「簡素化された訴訟手続を装備して司法へのアクセスを容易化するため」*1などと説明されています。
許可代理人になれない場合
許可をするのが不相当(不許可相当)の場合の例としては、以下のものが挙げられます(あくまで例示に過ぎず、これらの場合に限定されるという意味ではありません。)。
- 未払賃料や賃貸建物明渡等の事件において、賃貸人と取引関係にある不動産仲介業者や管理会社(またはそれらの会社の従業員)を許可代理人として申請する場合
- マンション管理費請求などの事件において、マンションの管理組合が業務委託している管理会社の従業員を許可代理人として申請する場合
- 交通事故による損害賠償請求事件で、原告が加入している保険会社の従業員を許可代理人として申請する場合
これらの場合に許可代理が相当でない理由は、報酬を得る目的で訴訟事件等を執り扱っており、弁護士法72条に違反する非弁行為に当たるという点にあります*2。
許可の判断基準
では、どのような場合に代理人としての許可が出されるのでしょうか?
この点について、ある文献は次のように説明しています。
現在もこの基準で考えて大過ないと考えられます。
「代理人として許可するかどうかの一応の判断基準として,代理の必要性(本人が直接自分で訴訟に関与することが困難であること),代理人としての適格性(代理人が事実及び法律につき相当程度の知識を有し,本人との間に一定の身分関係あるいは雇用関係等を有しており,手続の進行及び公正を害されるおそれがないこと)の2点がある。」*3。
公式サイト
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