竟成法律事務所のブログ

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下請法で禁止されている「買いたたき」ってどうやって判断するんですか?

■今回のテーマ

下請法4条1項5号は,発注者(親事業者)が下請けに対して,いわゆる「買いたたき」をすることを禁止しています。

 

下請法4条1項(親事業者の遵守事項)
親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託をした場合にあつては、第一号及び第四号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
一  下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと。
二  下請代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと。
三  下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること。
四  下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付を受領した後、下請事業者にその給付に係る物を引き取らせること。
五  下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。
六  下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること。
七  親事業者が第一号若しくは第二号に掲げる行為をしている場合若しくは第三号から前号までに掲げる行為をした場合又は親事業者について次項各号の一に該当する事実があると認められる場合に下請事業者が公正取引委員会又は中小企業庁長官に対しその事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。 

 

では,「値引き」と「買いたたき」の境界線はどこにあるのでしょうか?

と言うわけで,今回のテーマは,「買いたたきの判断基準」です。

 

 

■金額だけで決まるわけではありません

下請法4条1項5号には次のように定められています。

下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。

 

そのため, 「通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金」と言えれば,「買いたたき」に当たるようにも読めます。「買いたたき」という言葉の意味からしても,代金額こそが決定的な意味を持つようにも読めます。

 

しかし,注意していただきたいのは,下請法4条1項5号通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金」自体を問題視しているわけではなく,そのような代金を「不当に定めること」を問題視しているという点です。

 

そのため,「買いたたき」か否かを判断する際には,以下の要素などを総合的に考慮する必要がある,とされています。*1

  1. 下請代金額の決定に当たり,下請事業者と十分な協議が行われたかなどの対価の決定方法
  2. 自社だけが他社に比べて内容面で差別されていないかなどの対価の決定方法
  3. 「通常支払われる対価」と当該給付に支払われる対価の乖離状況
  4. 当該給付に必要な原材料等の価格動向

  

 

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*1:公正取引委員会中小企業庁『下請取引適正化推進講習会テキスト』(平成25年11月版)54頁参照。