■今回のテーマ
ある事件が不起訴となったときに,色々と議論や批判が為されることがあります。
そうした議論や批判をする際の前提となる基礎知識について,簡単にご説明いたします。
【関連する拙稿】
「処分保留」・「不起訴」って何ですか? 将来,起訴されることはあるんですか?
http://milight-partners-law.hatenablog.com/entry/2015/08/12/104909
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ある事件が不起訴となったときに,色々と議論や批判が為されることがあります。
そうした議論や批判をする際の前提となる基礎知識について,簡単にご説明いたします。
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能年玲奈から改名した「のん」 レプロから名前めぐり警告書か - ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/11786406/「6月末で契約が満了する能年に対し、レプロは6月下旬、昨年4月から能年との話し合いが進まず、仕事を入れられなかったとして、その15カ月分の契約延長を求める文書を送付。」
「その際、契約が終了しても、『能年玲奈』を芸名として使用する場合には、レプロの許可が必要と“警告”していた。」
「ただ、『契約終了後に本名であっても許可なしでは名乗れないというのは、公序良俗違反で契約条項は無効になるでしょう』(千葉貴仁弁護士)との指摘もあり、今回の改名を巡る経緯は論議を呼びそうだ。」
上記引用部分にもあるように,弁護士の千葉先生は,芸名としての「能年玲奈」 の使用を禁止する契約は公序良俗違反で無効である,と説明されているようです。
ところで,この「公序良俗」とは何でしょうか?
また,芸名としての「能年玲奈」の使用を禁止する契約は無効になるのでしょうか?
そこで,今回は,これらの問題を検討する前提となる公序良俗(民法90条)について,基礎的な内容を説明したいと思います。
ちなみに,本稿では,上記記事に関連して公序良俗を取り上げていますが,今回の事例を公序良俗で処理することが最も適切,という訳ではありません(千葉先生が公序良俗を取り上げられた理由は定かではありません。)。
むしろ,実務上,裁判所が事案を処理する際に民法90条を使用することはあまり多くはありません。信義則(民法1条2項)や権利濫用 (民法1条3項)で処理されることの方が多いと考えられます。
とはいえ,公序良俗については,説明記事も豊富とは言いがたい状況ですので,以下では公序良俗について説明したいと思います。
続きを読む平成28年4月6日,以下のような報道が為されました。
LINE:関東財務局が立ち入り検査 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160406/k00/00m/040/159000c「無料通信アプリ大手『LINE(ライン)』(東京都渋谷区)が運営するスマートフォン用ゲームで使う一部のアイテム(道具)が資金決済法で規制されるゲーム上の『通貨』に当たると社内で指摘があったのに、同社は仕様を変更し規制対象と見なされないよう内部処理していたことが分かった。同法を所管する関東財務局は必要な届け出をせず法令に抵触する疑いがあるとして、同社に立ち入り検査するとともに役員らから事情聴取し、金融庁と対応を協議している。」
これにを受けて, LINEさんは自社の見解を即座に公表されています。
【コーポレート】一部報道内容に関する当社の見解について | LINE Corporation | ニュース
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2016/1315「本日、一部報道機関において、当社のスマートフォン向けゲームに関し、当社が資金決済に関する法律(以下「資金決済法」といいます。)に基づく規制の適用を意図的に免れ、同法に基づいて必要とされる供託を逃れようとしたかのような報道がなされましたが、そのような事実は一切ございません。」
弊所の代表弁護士山田は,財務省近畿財務局の金融証券検査官として,資金決済法の審査業務にも携わっておりました。
そこで,今回は,LINEさんに対する関東財務局の検査,資金決済法の規制内容等について,簡単に説明したいと思います。
ちなみに,LINEさんは,元々,LINE COINを発行されていることもあり,「前払式支払手段(第三者型)発行者」として,関東財務局に登録しておられます(関東財務局第00607号)。 LINEさんは無登録業者ではありません。
続きを読むLINE 資金決済法に基づく表示
http://terms.line.me/line_settlement_iphone/?lang=ja
離婚の際によく問題になるものの1つとして,「婚姻費用」というものがあります。
婚姻費用とは,次のようなお金のことを指します。
婚姻費用とは,「夫婦が通常の社会生活を維持するのに必要な生活費をいい,衣食住の費用・交際費・医療費・子供の養育費(子の監護費用)・教育費等である。」*1
婚姻費用 とは「一般的には,夫婦とその未成熟子の共同生活のために必要とされる費用であり,具体例として,衣食住に関わる費用や,子供の養育や教育等に関わる費用,医療費などが考えられる。もっとも,子の状況(病弱であり,生活能力もない場合)や親の経済状況等に応じて,成年の子のための生活費や学費も,これに含まれるとされている。」*2
「定義を読んでもよく分からない!」という方が少なくないかもしれません(笑)。
具体例を出しましょう。
現在,婚姻費用が実際に問題になることが多いのは,夫婦が別居をした場合(かつ離婚が成立していない場合)です。
このような場合,特に専業主婦(主夫)の方は,通常,十分な生活費を得る仕事を有していません。このままでは,専業主婦(主夫)の方は直ちに生活に困窮してしまいます。
そのため,このような専業主婦(主夫)の方が,配偶者に対して,生活費等を請求する場合に問題となるのが「婚姻費用」です。
「婚姻費用の分担は,夫婦共同体における内部的な関係として位置付けられるものである。もっとも,特に問題なく,家庭生活が営まれている場合には,婚姻費用分担をめぐる問題が生ずることは多くないだろう。
実際に,この問題が顕在化するのは,婚姻が破綻しつつあるような場面においてである。」*3
婚姻費用は,離婚調停を申し立てた場合にしばしば問題になるため,裁判所にも説明用のページが用意されています。
裁判所|婚姻費用の分担請求調停
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_07_03/
ちなみに,この婚姻費用を請求できる or 支払わなければならない根拠は,民法760条にあります。
(婚姻費用の分担)
第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
婚姻費用については,様々な論点や問題があります。
今回とりあげるテーマは,その中でも,「婚姻費用負担義務の発生時期」です。
より具体的に言いますと,「別居した場合,いったい,いつから婚姻費用の支払を相手方に請求できるのか?」というものです。
続きを読む平成28年3月1日,最高裁は,認知症に罹患した高齢者が起こした鉄道事故事件に関する損害賠償請求について,JR東海の請求を棄却する内容の判決を出しました。
裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85714
認知症JR事故、家族に監督義務なし 最高裁で逆転判決:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASJ2X0VW5J2WUTIL028.html
この事件については,従来からいくつもの報道が為されており,社会的に注目されていました。
また,最高裁判決を受けて,法律家の方々もTwitterで呟かれており,実務上も重要な判決であることが分かります。
というわけで,今回は,この認知症事件(JR東海事件)に関する簡単な解説をしたいと思います。
今後,研究者の先生方による詳細な判例評釈や,担当調査官による解説が出ると思います。本格的かつ精確な議論については,それらのご論考をご参照ください。
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