竟成法律事務所のブログ

大阪市北区西天満2-6-8 堂島ビルヂング409号室にある金融法や民事事件を重点的に取り扱う法律事務所です(TEL 06-6926-4470、大阪弁護士会所属)

金融庁が「金融行政モニター」を設置しました。

報道されているとおり,金融庁は,2016年1月29日から「金融行政モニター」という窓口を設置しました。

金融行政モニター制度を創設、外部の意見で質的向上を=金融庁 | Reuters
http://jp.reuters.com/article/aso-financial-opinion-idJPKCN0V4053

麻生太郎金融担当相は26日の閣議後会見で、市中の金融機関から見ると金融庁には『金融処分庁』というイメージが残っていると思うとし、『提言したくても、監督官庁に直接ものが言いにくいとちゅうちょする人もいるのではないか』と指摘した。

 

金融行政モニターは,平成27事務年度(金融庁の事務年度は7月始まり翌年6月終わりです)金融行政方針で述べられていた制度です。

金融行政モニター受付窓口について:金融庁
http://www.fsa.go.jp/monitor/gyouseimonitor.html 

 

誤解を恐れずに言えば,金融行政モニターとは,要するに,金融庁の監督下にある金融機関の方々や関係者の方々も,金融庁の顔色をうかがわずに率直に金融庁に対して意見や批判を述べて欲しい。」という制度です。

 

言い換えれば,金融行政モニターは,金融機関に対する不満や苦情等を直接の対象としているわけではない,ということです。

 

ただし,「金融機関の問題点や違法行為について金融庁に『適切』に情報提供したにもかかわらず,金融庁は迅速に動いていない。金融庁の情報収集態勢や,情報活用態勢に問題があるのではないか。」という形であれば,それは金融行政の問題を指摘していることになりますから,金融行政モニターの対象になる……と考えられます。

 

 

金融庁のサイトは,分かりにくい構成になっているのですが,金融機関に関する情報等を金融庁に提供する場合の窓口はこちらです。

金融モニタリング情報収集窓口への情報
https://www.fsa.go.jp/kensa/

 

  

 

■公式サイト

お問合せはお電話 or 公式サイトの送信フォームからどうぞ!

竟成(きょうせい)法律事務所
TEL 06-6926-4470

http://milight-partners.wix.com/milight-law#!contact/c17jp

 

【メモ】勾引とは何か,どのような手続か

■今回のテーマ

このような報道に接しました。

“号泣元県議”野々村被告、強制出廷へ…あす初公判、神戸地検係官が自宅へ 勾引状執行へ手続き着手  - 産経WEST
http://www.sankei.com/west/news/160125/wst1601250034-n1.html

 

News Up “号泣”元県議 出廷に向けた奥の手 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160125/k10010385101000.html

 

 

被告人に対して勾引が為されることは,珍しいです。

自分が刑事弁護を担当していた被告人の方が勾引された経験がある弁護士は少ないと思います。

 

というわけで,今回は,「勾引」に関する基本的な知識をご説明したいと思います。

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公正証書による遺言が無効とされた諸事例(裁判例)のご紹介

■今回のテーマ

2016年1月24日,次のような判決があったという報道に接しました。

家政婦は見た! 「全遺産はあなたに」の遺言有効 3000万相当持ち去った実娘2人敗訴(1/4ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/affairs/news/160124/afr1601240011-n1.html

「平成23年に死去し「遺産は全て家政婦に渡す」としていた資産家女性=当時(97)=の遺言に反し、実娘2人が遺産を不当に持ち去ったとして、家政婦の女性(68)が遺産の返還を実娘側に求めた訴訟の判決が東京地裁であった。」

 

ところで,遺言書は自分(自筆)で作成することができますが,方式が厳格に決まっています。方式に反すると,その遺言は無効になる危険性が高いです。

 

そのため,確実な遺言書を作成されたい方は,通常,公正証書による遺言を用います。

遺言 日本公証人連合会
http://www.koshonin.gr.jp/yu.html

 公正証書遺言とはどのようなものですか? そのメリットとデメリットを教えて下さい。

 公正証書遺言は,遺言者が,公証人の面前で,遺言の内容を口授し,それに基づいて,公証人が,遺言者の真意を正確に文章にまとめ,公正証書遺言として作成するものです。
 遺言者が遺言をする際には,さてどんな内容の遺言にしようかと思い悩むことも少なくないと思いますが,そんなときも,公証人が親身になって相談を受けながら,必要な助言をしたりして,遺言者にとって最善と思われる遺言書を作成していくことになります
 公証人は,多年,裁判官,検察官等の法律実務に携わってきた法律の専門家で,正確な法律知識と豊富な経験を有しています。したがって,複雑な内容であっても,法律的に見てきちんと整理した内容の遺言にしますし,もとより,方式の不備で遺言が無効になるおそれも全くありません。公正証書遺言は,自筆証書遺言と比べて,安全確実な遺言方法であるといえます。
 また,公正証書遺言は,家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないので,相続開始後,速やかに遺言の内容を実現することができます。さらに,原本が必ず公証役場に保管されますので,遺言書が破棄されたり,隠匿や改ざんをされたりする心配も全くありません。(後略)

 

公正証書による遺言が無効とされることは「ほとんど」ありません。

しかし,実際の裁判例では,公正証書による遺言が無効となることもあります。

 

と言うわけで,今回は,公正証書による遺言が無効となった最近の事例をいくつかご紹介したいと思います(尚、弊所では公正証書遺言の事件を複数取り扱っておりますが、以下の裁判例は弊所が受任した事案ではありません。あくまで過去の裁判例のご紹介です。)。

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【メモ】司法修習生時代の手帳から

■今回のテーマ

片付けものをしていたら,司法修習生時代の自分のメモ帳が出てきました。

私は,修習中は常時,小さくてとても薄いメモ帳を携帯していて,教えていただいたことや分からなかったことを書き留めていました。

今,再読してみて改めて勉強になったこともあれば,正直,「それはちょっと違うのではないか」と思うこともあります(笑)。

 

いずれにせよ,修習生の方に役に立つ「かも」しれませんので,私がご教示いただいたことのうち,一部をご紹介させていただきます。

但し,情報を羅列しているだけで,特に系統立っているわけではありません。ご容赦ください。

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『FinTech革命』感想&コメント(追記あり)

■今回のテーマ

弊所の代表弁護士山田が、年末年始に拝読した書籍の1つに日経BPムックの『FinTech革命 テクノロジーが溶かす金融の常識』があります。 

FinTech革命(日経BPムック)

FinTech革命(日経BPムック)

 

弊所の代表弁護士山田は、財務省近畿財務局に2年間出向し、金融証券検査官として金融庁所管業務の仕事をしておりました。その関係もあって、弊所は金融法を重点的に取り扱っており、本書についても興味深く拝読しました。

 

また、金融庁も、『平成27年度 金融行政方針』においてFintechについて言及しており、注目している旨を述べています。*1

「FinTech とは、金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語であり、主に、IT を活用した革新的な金融サービス事業を指す。特に、近年は、海外を中心に、IT ベンチャー企業が、IT 技術を武器に、伝統的な銀行等が提供していない金融サービスを提供する動きが活発化している。」

金融庁としては、我が国が、FinTech の動きに速やかに対応し、将来の金融ビジネスにおける優位性を確保するため、民間部門と協働しつつ、海外事例の調査や内外の担い手との対話等を通じて FinTech の動向を出来る限り先取りして把握していく。その上で、利用者保護等の金融行政上の課題と両立させつつ、将来の金融業・市場の発展と顧客利便性の向上につなげていくとともに、内外の専門家の知見を積極的に活用し、技術革新が我が国経済・金融の発展につながるような環境を整備する。」 

――金融庁『平成27事務年度 金融行政方針』2頁、27頁。

  

というわけで、今回は、本書の中で印象的だった部分や刺激的だった部分、興味を惹かれた部分について、簡単に紹介、要約、コメントをしたいと思います。

 

尚、以下の引用部分のページ番号は、特に断りがないかぎり、本書のページ番号を指します。

*1:ちなみに、松井証券社長の松井道夫氏は、2016年の年頭のご挨拶の中で、FinTechの本質について「金融分野でのIT活用というにすぎません。」と述べられた上で、「FinTechの進展は、大量の人員を擁してサービスを提供している伝統的金融ビジネスをDisrupt(破壊)するイノベーションに繋がります。」と指摘されています。http://www.matsui.co.jp/company/matsui/2016.html 

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年末年始のご連絡

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

平素は格別のお引き立てにあずかり,厚く御礼申し上げます。

 

さて,標題の件ですが,弊所の年内の営業日は,本日(12月28日)までとなっております。

12月29日~1月3日まではお休みを頂戴しております。

 

尚,弊所の問い合わせフォームからのご連絡は,休所期間内も拝見する予定です。何かございましたら,ご遠慮なくお問い合わせください。

 

ただ,大変申し訳ないのですが,ご回答・ご対応が遅くなる可能性がございます。この点をお含みおきいただければ幸いです。

  

今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

適格機関投資家等特例業務に関するよくある質問と誤解

■今回のテーマ

弊所は,金融法と民事事件を重点的に取り扱っています。

金融法――と言っても色々な法律がありますが――の中でも分かりにくいのが金融商品取引法です。

 

裁判官や研究者の先生方も「金商法の読みにくさは何とかして欲しい」とよくおっしゃっています。

 

そんな金融商品取引法の中でも,よく質問されるのが適格機関投資家等特例業務に関するものです。

というわけで,今回は,適格機関投資家等特例業務に関するよくある質問」を取り上げたいと思います。

 

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