■今回のテーマ
「『東日本大震災』の復興支援のために集めた寄付金を,他の災害の復興支援のために使用して良いのか?」
という問題を考えるに当たり,そもそも,「『寄付』とは何か? その法的性格は何か?」という点がはっきりしませんでしたので,その点について,備忘録的に作成したのが今回の記事です。
■定義
「贈与とは,無償で財産を与える契約である。」*1
寄付とは「特に公共的な慈善目的のために財産が無償で譲渡される場合」を指す。*2
「難民に対する寄付のように,公共目的のために発起人が多数の人から金品を集めるような場合は,発起人自身が利益を享受するのではないため,発起人への贈与ではなく,目的を定めた発起人への信託的譲渡とみるべきである。そして発起人は,受領した金品を寄付の趣旨どおりに使用する義務を負うことになる。」*3
山本先生の分析によれば,寄付は,(1)贈与型,(2)信託型の2種類に大別されます。
寄付の目的が,寄付の相手方に利益を与える点にあるタイプが「贈与型」です。このタイプの場合,寄付の法的性格は,贈与契約あるいは(解除)条件付贈与契約になります。*4
寄付の目的が,寄付の相手方ではなく,第三者に利益を与えるタイプが「信託型」です。このタイプの場合,寄付の法的性格は信託に近くなります。
信託型の場合の法律関係については,次のように説明されています。
「この型の寄附は一般に信託関係,つまり,寄付者・受寄者間の行為は寄付財産の信託的譲渡であり,寄付者は寄付財産を寄付の目的にしたがって処理すべき義務を負うもの,と解されている。」*5
■その他の参考文献
金井憲一郎『三者間贈与の法的構造とその特質―英米法からみた寄付と公益信託に関する一考察―』
中央大学 学術リポジトリ
http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/item/md/idx/p/7165/
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