竟成法律事務所のブログ

大阪市北区西天満2-6-8 堂島ビルヂング409号室にある金融法や民事事件を重点的に取り扱う法律事務所です(TEL 06-6926-4470、大阪弁護士会所属)

親の不倫相手に対して子供が損害賠償を請求することはできますか?

■今回のテーマ

よくあるご相談の1つとして,「自分の夫 or 妻が不倫をしているようなんですが,不倫相手に対して慰謝料を請求することができますか?」というものがあります。

 

このご相談に対する実務上の回答としては,「慰謝料請求できます」というものになります。

 

こうしたご相談の場合に,時々,追加で質問されるのが,「私達夫婦の間には子供がいるのですが,その子供が不倫相手に慰謝料を請求することもできるのですか?」というものです。

 

というわけで,今回のテーマは,「親の不倫相手に対する子の損害賠償請求権の可否」です。

 

……やや長めの記事です(笑)。

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「疑わしい取引」を理由とする預金口座の凍結等について

■今回のテーマ

楽天銀行さんの対応とそれに関連する山本さん(隊長)の記事が話題になっています。

楽天銀行の対応が雑過ぎる | YONEZO-NET
http://yonezo.biz/?p=4405

 

ネット銀行経由での詐欺が多発している件で: やまもといちろうBLOG(ブログ)

http://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/2999756.html

米蔵さんの記事を拝見すると,恐らく,楽天銀行さんは,米蔵さんが利用されている口座又はその関連取引先が「疑わしい取引」に関わっている「可能性」があるとして,口座を凍結されていたのではないかと考えられます。

 

というわけで,今回は,この「疑わしい取引」について簡単にご説明したいと思います。

 

ちなみに,弊所の代表弁護士山田は,この「疑わしい取引」を含む法令等遵守態勢を検査する金融証券検査官として2年間,財務省近畿財務局に奉職しておりました。

 

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「贈与」と「寄付」は何が違うのか?

■今回のテーマ

「『東日本大震災』の復興支援のために集めた寄付金を,他の災害の復興支援のために使用して良いのか?」

という問題を考えるに当たり,そもそも,「『寄付』とは何か? その法的性格は何か?」という点がはっきりしませんでしたので,その点について,備忘録的に作成したのが今回の記事です。

 

 

■定義

「贈与とは,無償で財産を与える契約である。」*1

 

寄付とは「特に公共的な慈善目的のために財産が無償で譲渡される場合」を指す。*2

 

「難民に対する寄付のように,公共目的のために発起人が多数の人から金品を集めるような場合は,発起人自身が利益を享受するのではないため,発起人への贈与ではなく,目的を定めた発起人への信託的譲渡とみるべきである。そして発起人は,受領した金品を寄付の趣旨どおりに使用する義務を負うことになる。」*3

 

山本先生の分析によれば,寄付は,(1)贈与型,(2)信託型の2種類に大別されます。

寄付の目的が,寄付の相手方に利益を与える点にあるタイプが「贈与型」です。このタイプの場合,寄付の法的性格は,贈与契約あるいは(解除)条件付贈与契約になります。*4

 

寄付の目的が,寄付の相手方ではなく,第三者に利益を与えるタイプが「信託型」です。このタイプの場合,寄付の法的性格は信託に近くなります。

信託型の場合の法律関係については,次のように説明されています。

「この型の寄附は一般に信託関係,つまり,寄付者・受寄者間の行為は寄付財産の信託的譲渡であり,寄付者は寄付財産を寄付の目的にしたがって処理すべき義務を負うもの,と解されている。」*5

 

 

■その他の参考文献

 金井憲一郎『三者間贈与の法的構造とその特質―英米法からみた寄付と公益信託に関する一考察―』

中央大学 学術リポジトリ
http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/item/md/idx/p/7165/

 

 

■公式サイト

お問合せはお電話 or 公式サイトの送信フォームからどうぞ!

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*1:山本敬三『民法講義4-1 契約』(有斐閣,2005年)330頁

*2:前掲・山本331頁

*3:藤村康宏ほか著『民法4 債権各論』(有斐閣,第3版,2005年)60頁。

*4:尚,民法の大家である我妻栄先生は,「寄附者が特に使用目的を指定した場合(例えば労働法研究所を作ること,児童の体育設備を設けることなど)には,負担付贈与となり,受贈者は寄附をその目的に使用する義務を負う。」とされます(我妻榮『債権各論 中巻1』〔岩波書店昭和32年〕238頁)。

*5:加藤永一「寄付 ――1つの覚書――」契約法大系刊行委員会編『契約法大系2』(有斐閣,1962年)8頁。

下請法で禁止されている「買いたたき」ってどうやって判断するんですか?

■今回のテーマ

下請法4条1項5号は,発注者(親事業者)が下請けに対して,いわゆる「買いたたき」をすることを禁止しています。

 

下請法4条1項(親事業者の遵守事項)
親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託をした場合にあつては、第一号及び第四号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
一  下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと。
二  下請代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと。
三  下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること。
四  下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付を受領した後、下請事業者にその給付に係る物を引き取らせること。
五  下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。
六  下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること。
七  親事業者が第一号若しくは第二号に掲げる行為をしている場合若しくは第三号から前号までに掲げる行為をした場合又は親事業者について次項各号の一に該当する事実があると認められる場合に下請事業者が公正取引委員会又は中小企業庁長官に対しその事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。 

 

では,「値引き」と「買いたたき」の境界線はどこにあるのでしょうか?

と言うわけで,今回のテーマは,「買いたたきの判断基準」です。

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「先生,今回の事件,執行猶予になりますか?」

■今回のテーマ

刑事弁護をしていると,自分の事件に執行猶予が付されるかどうか,被疑者や被告人の方から時々尋ねられることがあります。

 

実は,執行猶予は,どんな場合でも付することができるわけでありません。一定の条件(要件)が法律で定められています。

 

という訳で,今回のテーマは,「執行猶予を付すための必要条件」です。

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クラウドファンディングに関する法律知識(基礎編)

■今回のテーマ

今回は,以前,別のサイトでも書いたことがあるのですが,クラウドファンディングに関する法規制について簡単に説明したいと思います。

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金融庁が情報提供を待っている金融機関

金融庁は普段から金融機関の情報を集めています

以前,別の拙稿にも書きましたが,金融庁や財務局は,金融機関の業務の健全かつ適切な運営の確保のために,金融機関に関する情報を集めています。

銀行とトラブルになったとき,金融庁に連絡すれば解決してくれますか?
http://milight-partners-law.hatenablog.com/entry/2015/07/31/193230

  

ちなみに,弊所の代表弁護士山田祥也が専門官として奉職していた財務省近畿財務局では,以下の部署がそれぞれの金融機関を担当しています。

金融監督第一課 銀行など

金融監督第二課 信用金庫

信用組合監督室 信用組合

金融監督第三課 保険会社,資金決済法の適用を受ける業者など

金融監督第四課 貸金業者

証券監督第一課 証券会社など

証券監督第二課 適格機関投資家等特例業務届出業者など

 

 

金融庁は検査中の金融機関の情報を特に必要としています

上掲の拙稿でもご説明しましたように,金融庁や財務局は,定期的に金融機関に立入検査を実施しています。

そして,金融庁や財務局は,この立入検査実施中の金融機関に関する情報を特に必要としています

 

検査実施期間中は,検査チームが金融庁や財務局で集中的な分析等を行ったり,実際に金融機関の本部でヒアリングや査定を実施したりしています。

そういった状況で,金融機関の改善に繋がる具体的な情報提供があると,検査は実効的になりますし,金融機関の組織力の向上にも繋がります。

 

ですから,もし,何か金融機関に関する情報がありましたら,金融庁や財務局にご提供ください。

 

尚,現在,金融庁や財務局が立入検査を実施している金融機関は以下のサイトに掲載されています。

金融モニタリング情報収集窓口:金融庁
http://www.fsa.go.jp/receipt/k_jyouhou/index.html

 

 

情報提供の方法は,担当部署に直接電話するという方法もありますし,金融庁のホームページから金融庁に送信するという方法もあります。

金融モニタリング情報収集窓口への情報
https://www.fsa.go.jp/kensa/

 

   

■公式サイト

※ 大変申し訳ありませんが,無料法律相談は実施しておりません。

※ お問合せはお電話 or 公式サイトの送信フォームからどうぞ!

竟成(きょうせい)法律事務所
TEL 06-6926-4470

http://milight-partners.wix.com/milight-law#!contact/c17jp