■今回のテーマ
弁護士として仕事をしていると,銀行をはじめとする金融機関(信用金庫,信用組合など)との間でトラブルになったという話を聞くことがあります。
また,弊所の代表弁護士は,金融証券検査官(専門官)として2年間奉職しておりましたので,金融機関とお客様とのトラブルをよく目にしていました。
例えば,
「私の兄弟が,認知症が進んだ親の口座から勝手にお金を引き出していた。銀行は本人確認をちゃんとしていたのか!?」
「親が亡くなったので,親の残した信金の預金からお金を払い戻そうとしたら,なかなか応じてくれない!」
というようなお話です。
では,こういう場合,金融庁や各地の財務局に苦情を申し立てれば,金融庁や財務局が介入して,トラブルを解決してくれるでしょうか?
■結論
金融庁や財務局は,金融機関と顧客との間のトラブル(いわゆる「民民」のトラブル)には原則として関与しません。
少なくとも,金融庁や財務局が,金融機関・顧客間の「個別」のトラブル解決を目的として介入することはありません。
但し,だからと言って,金融庁や財務局に苦情を申し立てることが無意味なわけでありません。
多少,補足して説明します。
■説明
金融庁や財務局は,苦情には全て目を通して,内容を確認しています。
また,いつ,誰からどのような苦情があったのかについても記録しています(これはどの省庁でも同じだと思いますが。)。
苦情の内容や種類によっては,金融庁や財務局から,金融機関に事実確認をすることが場合によってはあります。
また,ドラマ『半沢直樹』で片岡愛之助さんが演じられた「黒崎検査官」で有名になりましたが,金融庁や財務局は,金融機関の検査を行っています。
黒崎駿一/国税局査察部 統括官(片岡愛之助):相関図(東京本部)|TBSテレビ:日曜劇場『半沢直樹』
http://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/chart/kurosaki_t.html
この検査の際,苦情は,参考情報になることがあり得ます。
もちろん,苦情の内容や,同種の苦情の数などにもよりますので,苦情がどの程度,実際の検査に影響を与えるのかは一概には言えません。
ただ,金融庁や財務局がこうした「苦情」や「情報」を必要としていることは間違いありません。
ですから,例えば,金融庁は次のように述べて,ネットや電話,FAXでの情報提供を求めています。また,財務局も同様です(財務局は,地方銀行や,信用金庫,信用組合などを管轄しています。地銀の検査は金融庁が担当することもありますが。)。
金融モニタリング情報収集窓口:金融庁
http://www.fsa.go.jp/receipt/k_jyouhou/index.html
「金融庁及び財務局等では、金融機関の業務の健全かつ適切な運営の確保に関して、より一層深度あるモニタリングを行う観点から、『金融モニタリング情報収集窓口』を設置し、金融機関に関する情報を広く一般から収集しています。」
金融モニタリング情報収集窓口への情報
このように,「検査の参考情報になることがある」→「それによって金融機関の問題点が改善される」という文脈であれば,金融庁・財務局に対する苦情申立てや情報提供は,とても意味がありますし,金融機関全体の問題点が改善されるという大きなメリットがあります。
言い換えれば,金融機関との間のトラブルについては,基本的にご自身で解決するしかありません。その場合には,弁護士にご相談されるのも有益ですよ(笑)!
■【参考】担当部署
地銀の担当部署は,関東財務局 or 近畿財務局であれば,金融監督第一課です。
信用金庫の担当部署は,近畿財務局であれば,金融監督第二課です。
■公式サイト
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大変申し訳ないのですが、無料法律相談は行なっておりません。
竟成法律事務所
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