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法律事務所ミライト・パートナーズのブログ

大阪市北区梅田1‐1‐3 大阪駅前第3ビル31階にある金融法や民事事件を重点的に取り扱う法律事務所です(TEL 06-6341-0135)

「為替取引」とは何か?

■今回のテーマ

「為替取引」(銀行法2条2項2号)の意義です。

実務家向けの備忘録的な記事です。

クラウドファンディングソーシャルレンディングでも直面する法的問題です。

 

 

 ■関連法令

銀行法2条2項
この法律において「銀行業」とは、次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。
一  預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと。
二  為替取引を行うこと。

 

資金決済に関する法律2条2項
この法律において「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引(少額の取引として政令で定めるものに限る。)を業として営むことをいう。

 

 

判例・裁判例・文献等

銀行法2条2項2号の「為替取引を行うこと」の意義については,刑事事件ではあるものの,判例が存在します。

最決平成13年3月12日刑集55巻2号97頁
銀行法2条2項2号は,それを行う営業が銀行業に当たる行為の一つとして『為替取引を行うこと』を掲げているところ,同号にいう『為替取引を行うこと』とは,顧客から,隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて,これを引受けること,又はこれを引き受けて遂行することをいうと解するのが相当である。」 

 

「本決定は,以上のような点を踏まえ,銀行法2条2項2号にいう『為替取引を行うこと』の意義について決定要旨1のように判示して,『為替取引』が,隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする取引であることを確認した上で,『為替取引を行うこと』という実行行為の概念には,対顧客取引を行う場合のみならず,対顧客取引とその取引内容を実現するための遂行行為が一体となって1個の実行行為を更生する場合があることを明らかにしたものであると思われる。」*1

 

 

資金決済法2条2項の「為替取引」の意義は,銀行法上の「為替取引」と同義であるとされています。*2

 

 

銀行法2条2項2号の「為替取引」について言及した近時の裁判例としては,東京高判平成25年7月19日判タ1417号113頁があります。この事件は民事事件です。

 

この事件では,被告(控訴人)が行っていた集金代行業務及び資金移動業務が,銀行法2条2項2号及び資金決済法2条2項に言う「為替取引」に該当するか否かが問題となりました。

原審(さいたま地判平成25年3月13日)は,当該業務は「為替取引」に該当すると判断しました。

しかし,東京高裁は以下のように述べ,当該業務は「為替取引」に該当しないと判断しました。

銀行法が,為替取引を銀行業の内容の一つと位置づけ,これを免許制の対象としたのは,隔地者間の資金授受の媒介をするに当たり,媒介となる機関において,直接現金を輸送することなく隔地者への支払等を確実にするための資金手当のシステムを確立するなど,利用者(顧客)との間で高度の信用を保持できる体制を構築することが求められることから,十分な信用を持たない者が当該取引を行えないようにすることにより,利用者(顧客)を保護し,かつ,金融の円滑の確保を図ることにあると解される。このような銀行法の趣旨に鑑みると,依頼人の資金を依頼人に代わって受取人に送金するようないわゆる送金代行業務は,銀行法にいう『為替取引』には該当しないというべきである。平成13年最決の事案も,上記のような送金代行業務を取り扱ったものではないから,このように解しても,上記最決に反することにはならない。」

  

この点については,平成13年最決との整合性や,コンビニの水道料金や住民税等の収納代行業務が実務上(≠判例上)「為替取引」に該当しないとされていることとの整合性をどう図るか,などの問題があります。

 

特に,クラウドファンディングソーシャルレンディングにおいても,利用者(支援者)から集めたお金を,起業家や債務者に送付(送金)する場面では,この「為替取引」の該当性が問題になり得ます。

平成13年最決や,従来の金融庁の立場からすれば,クラウドファンディングソーシャルレンディングで行われている送金は「為替取引」に当たると考えられます。そのため,本来であれば,銀行業または資金移動業の登録が必要になるはずです。

 

他方で,そのような登録が必要となると,クラウドファンディングソーシャルレンディングの運営にはかなり大きな負担が掛かることになります。

この問題をどのように解決,止揚するかは大きな課題の1つです。

 

 

■関連する拙稿

クラウドファンディングに関する法律知識(基礎編)
http://milight-partners-law.hatenablog.com/entry/2015/09/04/145428

 

 

 

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*1:平木正洋「1 銀行法2条2項2号にいう「為替取引を行うこと」の意義 2 銀行法2条2項2号にいう「為替取引を行うこと」に当たるとされた事例」『最高裁判所判例解説 刑事篇 平成13年度』51頁。

*2:高橋康文編著『逐条解説 資金決済法』(金融財政事情研究会,増補版,平成22年)56頁。