法律事務所ミライト・パートナーズのブログ

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婚約の成否に関する近時の裁判例のご紹介

■今回のテーマ

今回は,「婚約の成否が問題(争点)になった幾つかの事例で,実際に裁判所がどのような判断をしたのか」を簡単にまとめてみました。

 

ただし,婚約の成否(婚約はどのような場合に成立したと言えるのか)については明確な法律上の基準がある訳ではありません。文字通り「ケースバイケース」です。

ですから,以下の裁判例を元にして,お一人で何かを速断されるのは危険です。

もし,あなたが,婚約の成否についてお悩みであれば,必ず,専門家にご相談ください。

 

 

■関連する拙稿

弁護士が説明する婚約破棄の注意点
http://milight-partners-law.hatenablog.com/entry/2015/07/24/024059

  

婚約破棄の事例紹介
http://milight-partners-law.hatenablog.com/entry/2015/08/20/103557

 

 

※いずれも,太字,伏せ字,番号付け,改行等の編集は引用者によります。

 

■婚約の成立を認めた裁判例

神戸地判平成14年10月22日裁判所ウェブサイト

「婚約は、当事者双方の将来夫婦になろうという合意で成立するものであり、必ずしも結納の授受その他一定の形式は必要でないが、将来における婚姻という身分関係形成を目的とした合意として当事者の自由意思が強く尊重されるべき分野の事柄であることに照らすと、結納その他慣行上婚約の成立と認められるような外形的事実のない場合には、その認定は慎重になされなければならないというべきである。」

 

「原告及び被告間の交際は、

〔1〕その後肉体関係を伴うかたちで続いたこと、

〔2〕原告及び被告は、互いにその両親や友人に対し、相手方を婚約者としてあるいは結婚を前提とした交際相手として紹介していること、

〔3〕被告は、原告方に度々宿泊していたこと、

〔4〕原告及び被告は、将来の婚姻生活の拠点となるべき不動産物件を求めて複数の不動産業者をあたり、最終的に原告名義で本件不動産を購入していること

等の事実を総合考慮すれば、遅くとも、原告が本件不動産を購入した平成12年7月ころまでには、原告及び被告の関係は、互いに将来夫婦として共同生活を営む合意が形成されており、婚約という法的保護を与えられるべき実質を有する段階に至っていたというべきであるから、原告及び被告間に婚約が成立していたと認めるのが相当である」

 

東京地判平成25年11月6日公刊物未登載

「被告は,原告と被告との間の婚約が法律上保護すべき程度に成熟した婚約ではない旨主張するようであるが,婚約は,将来夫婦になろうという男女間の真摯な合意があれば足り,特段の形式を要しないものと解されるところ,前記前提事実のとおり,原告と被告との間においても,真摯な合意がされたものと認められるから,上記被告の主張は採用できない。」

 

東京地判平成24年1月27日公刊物未登載

「原告と被告Bは,

〔1〕平成17年2月頃から交際を始め,同棲を始めたこと,

〔2〕被告は一度目の妊娠をしたが中絶し,平成20年6月に再び妊娠したこと,

〔3〕原告は今度は子を産むこととし,先の妊娠中絶の際の約束どおり被告との間で結婚することを約束したが,入籍は先にすることを合意したこと,

〔4〕原告と被告Bはその後も同居生活を続け,生活費の大半を原告が稼いでいたこと,

〔5〕原告は平成20年8月26日に交付を受けた母子健康手帳の『母(妊婦)』欄に『●』と記載したこと,

〔6〕原告は平成21年2月23日被告との子である★★を出産したこと

は前記1認定のとおりである。これらの事実を総合すると,原告と被告との間に平成20年6月頃婚姻予約が成立したものと認められる。」

 

東京地判平成25年6月7日公刊物未登載

「前記認定事実によれば,原告と被告は東京で同居していたが,被告の郷里である名古屋に一緒に転居することになったことに加えて,

〔1〕2月友人宅訪問の際,挙式や入籍の時期が話題に上り,

〔2〕2月挨拶で,被告は原告の両親に挨拶に行って一緒に名古屋に転居することを報告して,その際に結納や婚姻後の氏が話題に上り,

〔3〕3月法要の際,被告と原告の家族との会話で,挙式について話題に上り,

〔4〕3月送別会の際も,被告と原告の友人の間で挙式について話題に上り,

〔5〕名古屋転居後も,4月会食で,被告と被告の家族の間で,入籍の時期について話題に上り,

〔6〕平成23年5月には,原告と被告の双方の両親の顔合わせの計画が検討され,

〔7〕被告と原告の友人の食事の際,七夕に入籍することが話題に上り,

〔8〕被告自身も,原告と共に名古屋に転居し,互いの家族に挨拶をしたこともあって,いずれ入籍をしなければと考えていたと認められるのであり,以上からすれば,原告・被告間には婚姻の約束が成立していたと認められる。」

  

東京地判平成25年5月21日公刊物未登載

「ア 原告と被告は,平成18年6月ころから平成23年4月13日まで,約5年間にわたって生活を共にし,その間,各自の収入は,それぞれ独自に管理していたとはいえ,共同生活に係る支出については,それぞれ負担し合う部分があった。

イ 原告は,平成20年9月9日,★社に対し,婚姻を理由として退職する旨の届出をし,同月30日,同社を退職した。

ウ 原告は,平成21年5月に本件マンションに転居するころには,被告と婚姻することを決意し,その前後ころまでには,原告の友人及び原告の親族は,原告と被告が婚姻を予定して生活を共にしていると認識していた。」

「以上の事実に照らせば,原告と被告は,単なる同居人ではなく,遅くとも平成21年5月ころまでには,近い将来に正式に婚姻関係に至ることを予定して性的関係を含む共同生活を営む関係にあったと認めることができ,その後の両者の関係は,婚姻関係に準ずる関係又は婚約関係にあったというべきである。」

 

  

■婚約の成立を否定した裁判例

 東京地判平成25年11月29日公刊物未登載

「原告と被告の交際は,上記のように相当に親密なものではあったが,いずれかの時期において婚姻するかどうかを双方で決定することが前提とされていたものであって,原告と被告が完全に住居及び生計を一にしていたとか,事実上の夫婦関係にあることを対外的に表明していたとかいうわけでもないから,法的に保護されるべき内縁関係にあったということはできない。」

「また,結納の授受,婚約指輪の交換,結婚式や披露宴の日取りの打合せや決定などといった慣行上婚姻予約の成立が認められるような外形的な事実もなく,原告の主張する婚姻予約の成立というのも,子どものため最善策を考えて結婚する旨の電話での発言というのであって,認定した事実経過に照らしても,原告と被告の間に婚姻予約が成立したものと認めるには足りない」

 

東京地判平成25年7月17日公刊物未登載

「仮に,原告の上記供述にあるような結婚を約束する会話が原告と被告との間で交わされたとしても,上記(2)のとおり,原告と被告が互いのことを親や友人に婚約者として紹介したこともなく,継続的な性関係もなかったなどの諸事情を踏まえると,原告と被告との間の結婚の約束が婚約として法的な保護に値する状態に至っていたと認めることは困難である」

  

東京地判平成24年5月16日公刊物未登載

婚約は,将来夫婦になろうという男女間の真摯な合意があれば足り,特段の形式を要しないものと解されるところ,前提となる事実,証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば,

〔1〕原告と被告は,いわゆるキャバクラのスタッフ女性とその客として知り合い,平成22年10月末頃から交際を開始し,同年11月10日以降,◎に所在する被告宅において同棲生活を始めたこと,

〔2〕被告は,同月中旬頃,原告を同伴して★市へ出張した折りに,同市在住の原告の母と会い,同人に対し,原告と交際していることを告げたこと,同じ機会に,同市在住の被告の母に原告を会わせたこと,

〔3〕同年12月頃までの間に,双方の性格の相違ないし双方が相手を慮る言動に欠けたことなどから,互いに相手に不満を持つようになったこと,

〔4〕原告と被告は,同年12月末から平成23年年明けにかけて,市方面へ旅行し,互いの母の自宅を訪れたり,★★市に所在する★★温泉に宿泊するなどしたこと,

〔5〕平成23年1月初旬,原告と被告は,泊まりがけで★★★市方面に遊びに行ったところ,互いに激しい口論となり,被告から,原告に対し,『もう一緒にやっていくのは無理だ。』と告げたこと,

〔6〕その翌朝,2人で帰京したものの,原告は,被告に告げずに友人宅に赴き同人宅に宿泊したこと,

〔7〕さらに,その翌日,原告は被告に連絡を取った上,被告宅に赴き,自分の荷物をまとめた上,引越業者を手配するなどし,同宅から退去して母の住む★市へ戻り,その後交際を解消し同棲生活を再開することはなかったこと,

〔8〕上記同棲生活の間,原告と被告は,避妊せずに性交に及ぶことが複数回あったことが各認められるものの,かかる事実から原告と被告との間において婚約が成立したと認めるに足らない。」

 

 

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