法律事務所ミライト・パートナーズのブログ

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弁護士は相手方の許可がなければ書面でしかやりとりができない?

■今回のテーマ

ネット上の「一部」で話題になっていた,ある専門家のサイトに以下のような「主旨」の記載がありましたので,ごく簡単にご説明いたします(当該サイトを批判することが目的ではありませんので,そのままの引用はしておりません。)。

 

個人情報保護法の改正等の結果,現在,弁護士も行政書士も,相手方の許可を得ること無く,相手方に電話をすれば刑事罰を受ける。

したがって,弁護士も行政書士も相手方の許可が無ければ書面で遣り取りをするしかない。

つまり,書面での交渉以外に選択肢がないという意味で,弁護士も行政書士も同じである。」 

 

果たして,この記載は正しいのでしょうか?

 

 

■結論

結論から申し上げれば,このサイトの記載は誤っています。

 

執筆者の方は,個人情報保護の重要性と,非専門家の方が個人情報を軽々に扱うことの危険性を主張されたかったのではないかと存じます。

これは,まさにご主張のとおりで,個人情報の取扱いを誤れば,大企業であっても甚大なダメージを被ることがあります。

 

しかし,個人情報保護法の罰則(56条59条)には,上記記載のような規定は置かれていません。

また,刑法などの他の法令においても,上記記載のような刑事罰を定める規定が存在することは一般には知られていません。

 

ですから,弁護士は紛争の相手方の許可を得ることなく相手方と交渉や連絡等をすることができます。

 

他方,行政書士さんは, 弁護士法72条によって,このような行為を行ってはならないとされています。行政書士さんは,紛争について,報酬を得る目的で弁護士のように,裁判所で依頼者の代わりに法廷で活動したり,訴訟を提起したりすることもできません(弁護士法72条)。

 

たとえば,大阪高判平成26年6月12日判時2252号61頁は,次のように述べて,将来紛争が発生することがほぼ不可避の交通事故に関して,行政書士さんが書類を作成する行為は,弁護士法72条によって禁止されていると判示しました(太字は引用者によります。)。

言い換えれば,このような事案に行政書士さんが就いたとしても,実務上,相手にされない,ということです。

「二 当審における控訴人の補充主張に対する判断
 (1) 弁護士法72条の解釈に関する主張について
 控訴人は、弁護士法72条は、そのただし書で『他の法律に別段の定めがある場合』を例外として定めるところ、行政書士法1条の2第1項はその例外に当たるから、弁護士法72条により非弁護士が取り扱うことのできない事件性のある法律事務の鑑定に関するものであっても、権利義務又は事実証明に関する書類を作成することは許されると主張する。
 しかし、行政書士法1条の2第1項の『権利義務又は事実証明に関する書類』に該当するか否かは、他の法律との整合性を考慮して判断されるべき事柄であり、抽象的概念としては『権利義務又は事実証明に関する書類』と一応いえるものであっても、その作成が一般の法律事務に当たるもの(弁護士法3条1項参照)はそもそもこれに含まれないと解するのが相当である
 本件において、控訴人は、亡●及び被控訴人★のそれぞれについて加害者との間で将来法的紛議の発生することがほぼ不可避である状況において、その事情を認識しながら、■整形外科宛ての上申書や保険会社宛ての保険金の請求に関する書類等を作成し提出したものであると認められるが(甲20~22、乙9)、これらの書類には、亡●らに有利な等級認定を得させるために必要な事実や法的判断を含む意見が記載されていたものと認められる。そうすると、そのような書類は、一般の法律事件に関して法律事務を取り扱う過程で作成されたものであって、行政書士法1条の2第1項にいう『権利義務又は事実証明に関する書類』とはいえないから、弁護士法72条ただし書の適用はなく、これらの書類の作成については、弁護士法72条により非弁護士による事務の取扱いが禁止されるものである
 よって、控訴人の主張は理由がない。」

 

 

ちなみに,行政書士さんは,官公署に提出する書類の作成や,提出手続等のプロフェッショナルです(行政書士法1条の2)。例えば,身近なところでは,帰化手続に精通された行政書士さんなどがおり,こういった方に依頼をすると,非常に効率的に手続を進めることができます。

 

(業務)
行政書士法第1条の2
1 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

 

行政書士の業務内容 | 日本行政書士会連合会
http://www.gyosei.or.jp/service/services.html

 

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士法第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 

 

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