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法律事務所ミライト・パートナーズのブログ

大阪市北区梅田1‐1‐3 大阪駅前第3ビル31階にある金融法や民事事件を重点的に取り扱う法律事務所です(TEL 06-6341-0135)

家宅捜索に弁護士に立ち会ってもらうことは可能ですか?

刑事訴訟法 刑事弁護

■今回のテーマ

「警察や検察が,自宅に捜索差押えに来た場合,弁護士に立ち会ってもらうことは可能ですか?」

 

というわけで,今回のテーマは「被疑者段階(起訴前の段階)での自宅の捜索差押えに対する弁護士の立会い」です。

 

実は,このテーマ,弁護士や現場の警察官の方も正確に理解していないことがあります。

 

 

■結論

結論としては,一定の手続をすれば立ち会うことができます。

 

ところが,この点を正確に理解していないのではないかと思われる記述を見かけることがあります。

 

たとえば,ある法律事務所は,ホームページで次のような「趣旨」の記述をしています(当該事務所を批判することが目的ではありませんので,そのままの引用はしておりません。)。

「捜査段階(被疑者段階)の捜索・差押えについては,弁護士は立会権を有していません。なぜならば,捜査段階の捜索・差押えを規律する刑事訴訟法222条1項は,同113条を準用していないからです。

もっとも,警察官の承認を得られれば、弁護士が家宅捜索に立ち会うことも可能です。」。 

これは刑事訴訟法222条に関する説明としては間違っていませんが,「弁護士に,家宅捜索に立ち会ってもらえることはできるのか?」という質問に対する回答としては,少なくとも不親切です。なぜなら,立ち会う方法はある訳ですから。

  

刑事訴訟法第113条
1 検察官、被告人又は弁護人は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができる。ただし、身体の拘束を受けている被告人は、この限りでない。
2 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をする者は、あらかじめ、執行の日時及び場所を前項の規定により立ち会うことができる者に通知しなければならない。ただし、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示した場合及び急速を要する場合は、この限りでない。
3 裁判所は、差押状又は捜索状の執行について必要があるときは、被告人をこれに立ち会わせることができる。 

 

刑事訴訟法第222条1項
 第99条第1項、第100条、第102条から第105条まで、第110条から第112条まで、第114条、第115条及び第118条から第124条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条、第220条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第110条、第111条の2、第112条、第114条、第118条、第129条、第131条及び第137条から第140条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条又は第220条の規定によつてする検証についてこれを準用する。ただし、司法巡査は、第122条から第124条までに規定する処分をすることができない。

 

  

■説明

結論から言いますと,弁護士は,住居主の「代わるべき者」(刑事訴訟法114条2項前段)になれば,被疑者段階(起訴前の段階)の自宅の捜索差押えに立ち会うことができます。

 

つまり,確かに,被疑者段階(起訴前の段階)の捜索差押えについては,弁護士には「弁護人」 としての固有の立会権はありません。これは,上掲のとおり,刑事訴訟法222条1項刑事訴訟法113条を準用していないからです。

 

しかし,自宅等の捜索差押えの立会いについて規定した刑事訴訟法114条2項は,次のように定めています。

刑事訴訟法第114条第2項
2 前項の規定による場合を除いて、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするときは、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代わるべき者をこれに立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせることができないときは、隣人又は地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。*1

すなわち,住居主や看守者が弁護士を代理人として指定すれば,弁護士は「これらの者に代わるべき者」として捜索差押えに立ち会うことができます。

 

これらの点について,裁判官は,次のように説明します。

「住居主・看守者に代わるべき者とは,同居人や従業員など,当該場所の管理に関して住居主・看守者に準ずる立場にある者をいう。住居主・看守者が代理人として弁護士を指定した場合は,その弁護士も立ち会うことができる」*2

 

 「人の住居・邸宅の場合には,住居主・看守者かこれに代わるべき者を立ち会わせることになる。住居主等が代理人として弁護士を指定したときは,弁護士が立ち会うことができる。」*3

 

「なお,弁護人については,被疑者と同様,弁護人としての立会権はない。法222条1項113条を準用していないことによる。しかし,前述のように,住居主又は看守者(法114条2項)の代理人としてであれば立会権が認められるから,立会いを求める場合には,代理人であることを証明できる委任状などを執行者に示す必要があろう」*4

 

このように,弁護士は,被疑者段階(起訴前段階)の自宅の捜索差押えについても,住居主から委任を受ければ刑事訴訟法114条2項によって立ち会うことができます。

 

 

■公式サイト

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法律事務所ミライト・パートナーズ
TEL 06-6341-0135

http://milight-partners.wix.com/milight-law

 

*1:尚,この「地方公共団体の職員」に地方公務員としての警察官は含まれないと解されています(松本時夫ほか編著『条解 刑事訴訟法』(弘文堂,第4版,平成21年)231頁。)。実務上は,消防職員や保健所職員などを立ち会わせることがあります。

*2:福島直之「捜索差押の際の立会人」髙麗邦彦=芦澤政治編『令状に関する理論と実務2』別冊判タ35号107頁(2013年)。

*3:池田修「捜索差押えの現場における立入禁止可能な範囲――捜索差押えの現場にはどのような者を立ち会わせることが適当か また,被疑者を立ち会わせてよいか」新関雅夫ほか著『増補 令状基本問題 下』(一粒社,1997年)267頁。

*4:前掲・池田269頁。