■今回のテーマ
能年玲奈から改名した「のん」 レプロから名前めぐり警告書か - ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/11786406/「6月末で契約が満了する能年に対し、レプロは6月下旬、昨年4月から能年との話し合いが進まず、仕事を入れられなかったとして、その15カ月分の契約延長を求める文書を送付。」
「その際、契約が終了しても、『能年玲奈』を芸名として使用する場合には、レプロの許可が必要と“警告”していた。」
「ただ、『契約終了後に本名であっても許可なしでは名乗れないというのは、公序良俗違反で契約条項は無効になるでしょう』(千葉貴仁弁護士)との指摘もあり、今回の改名を巡る経緯は論議を呼びそうだ。」
上記引用部分にもあるように,弁護士の千葉先生は,芸名としての「能年玲奈」 の使用を禁止する契約は公序良俗違反で無効である,と説明されているようです。
ところで,この「公序良俗」とは何でしょうか?
また,芸名としての「能年玲奈」の使用を禁止する契約は無効になるのでしょうか?
そこで,今回は,これらの問題を検討する前提となる公序良俗(民法90条)について,基礎的な内容を説明したいと思います。
ちなみに,本稿では,上記記事に関連して公序良俗を取り上げていますが,今回の事例を公序良俗で処理することが最も適切,という訳ではありません(千葉先生が公序良俗を取り上げられた理由は定かではありません。)。
むしろ,実務上,裁判所が事案を処理する際に民法90条を使用することはあまり多くはありません。信義則(民法1条2項)や権利濫用 (民法1条3項)で処理されることの方が多いと考えられます。
とはいえ,公序良俗については,説明記事も豊富とは言いがたい状況ですので,以下では公序良俗について説明したいと思います。
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