■今回のテーマ
離婚の際によく問題になるものの1つとして,「婚姻費用」というものがあります。
婚姻費用とは,次のようなお金のことを指します。
婚姻費用とは,「夫婦が通常の社会生活を維持するのに必要な生活費をいい,衣食住の費用・交際費・医療費・子供の養育費(子の監護費用)・教育費等である。」*1
婚姻費用 とは「一般的には,夫婦とその未成熟子の共同生活のために必要とされる費用であり,具体例として,衣食住に関わる費用や,子供の養育や教育等に関わる費用,医療費などが考えられる。もっとも,子の状況(病弱であり,生活能力もない場合)や親の経済状況等に応じて,成年の子のための生活費や学費も,これに含まれるとされている。」*2
「定義を読んでもよく分からない!」という方が少なくないかもしれません(笑)。
具体例を出しましょう。
現在,婚姻費用が実際に問題になることが多いのは,夫婦が別居をした場合(かつ離婚が成立していない場合)です。
このような場合,特に専業主婦(主夫)の方は,通常,十分な生活費を得る仕事を有していません。このままでは,専業主婦(主夫)の方は直ちに生活に困窮してしまいます。
そのため,このような専業主婦(主夫)の方が,配偶者に対して,生活費等を請求する場合に問題となるのが「婚姻費用」です。
「婚姻費用の分担は,夫婦共同体における内部的な関係として位置付けられるものである。もっとも,特に問題なく,家庭生活が営まれている場合には,婚姻費用分担をめぐる問題が生ずることは多くないだろう。
実際に,この問題が顕在化するのは,婚姻が破綻しつつあるような場面においてである。」*3
婚姻費用は,離婚調停を申し立てた場合にしばしば問題になるため,裁判所にも説明用のページが用意されています。
裁判所|婚姻費用の分担請求調停
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_07_03/
ちなみに,この婚姻費用を請求できる or 支払わなければならない根拠は,民法760条にあります。
(婚姻費用の分担)
第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
婚姻費用については,様々な論点や問題があります。
今回とりあげるテーマは,その中でも,「婚姻費用負担義務の発生時期」です。
より具体的に言いますと,「別居した場合,いったい,いつから婚姻費用の支払を相手方に請求できるのか?」というものです。
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