竟成法律事務所のブログ

大阪市北区西天満2-6-8 堂島ビルヂング409号室にある金融法や民事事件を重点的に取り扱う法律事務所です(TEL 06-6926-4470、大阪弁護士会所属)

『FinTech革命』感想&コメント(追記あり)

■今回のテーマ

弊所の代表弁護士山田が、年末年始に拝読した書籍の1つに日経BPムックの『FinTech革命 テクノロジーが溶かす金融の常識』があります。 

FinTech革命(日経BPムック)

FinTech革命(日経BPムック)

 

弊所の代表弁護士山田は、財務省近畿財務局に2年間出向し、金融証券検査官として金融庁所管業務の仕事をしておりました。その関係もあって、弊所は金融法を重点的に取り扱っており、本書についても興味深く拝読しました。

 

また、金融庁も、『平成27年度 金融行政方針』においてFintechについて言及しており、注目している旨を述べています。*1

「FinTech とは、金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語であり、主に、IT を活用した革新的な金融サービス事業を指す。特に、近年は、海外を中心に、IT ベンチャー企業が、IT 技術を武器に、伝統的な銀行等が提供していない金融サービスを提供する動きが活発化している。」

金融庁としては、我が国が、FinTech の動きに速やかに対応し、将来の金融ビジネスにおける優位性を確保するため、民間部門と協働しつつ、海外事例の調査や内外の担い手との対話等を通じて FinTech の動向を出来る限り先取りして把握していく。その上で、利用者保護等の金融行政上の課題と両立させつつ、将来の金融業・市場の発展と顧客利便性の向上につなげていくとともに、内外の専門家の知見を積極的に活用し、技術革新が我が国経済・金融の発展につながるような環境を整備する。」 

――金融庁『平成27事務年度 金融行政方針』2頁、27頁。

  

というわけで、今回は、本書の中で印象的だった部分や刺激的だった部分、興味を惹かれた部分について、簡単に紹介、要約、コメントをしたいと思います。

 

尚、以下の引用部分のページ番号は、特に断りがないかぎり、本書のページ番号を指します。

*1:ちなみに、松井証券社長の松井道夫氏は、2016年の年頭のご挨拶の中で、FinTechの本質について「金融分野でのIT活用というにすぎません。」と述べられた上で、「FinTechの進展は、大量の人員を擁してサービスを提供している伝統的金融ビジネスをDisrupt(破壊)するイノベーションに繋がります。」と指摘されています。http://www.matsui.co.jp/company/matsui/2016.html 

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年末年始のご連絡

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

平素は格別のお引き立てにあずかり,厚く御礼申し上げます。

 

さて,標題の件ですが,弊所の年内の営業日は,本日(12月28日)までとなっております。

12月29日~1月3日まではお休みを頂戴しております。

 

尚,弊所の問い合わせフォームからのご連絡は,休所期間内も拝見する予定です。何かございましたら,ご遠慮なくお問い合わせください。

 

ただ,大変申し訳ないのですが,ご回答・ご対応が遅くなる可能性がございます。この点をお含みおきいただければ幸いです。

  

今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

適格機関投資家等特例業務に関するよくある質問と誤解

■今回のテーマ

弊所は,金融法と民事事件を重点的に取り扱っています。

金融法――と言っても色々な法律がありますが――の中でも分かりにくいのが金融商品取引法です。

 

裁判官や研究者の先生方も「金商法の読みにくさは何とかして欲しい」とよくおっしゃっています。

 

そんな金融商品取引法の中でも,よく質問されるのが適格機関投資家等特例業務に関するものです。

というわけで,今回は,適格機関投資家等特例業務に関するよくある質問」を取り上げたいと思います。

 

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「為替取引」とは何か?

■今回のテーマ

「為替取引」(銀行法2条2項2号)の意義です。

実務家向けの備忘録的な記事です。

クラウドファンディングソーシャルレンディングでも直面する法的問題です。

 

 

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嫡出子って何ですか?

■今回のテーマ

先日,以下のニュースが報道されました。

元光GENJIの大沢樹生喜多嶋舞元夫妻の長男「父親と親子関係なし」 大沢さんの主張認める判決 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/entertainments/news/151119/ent1511190005-n1.html

 

 

 

と言うわけで,今回のテーマは「嫡出子」です。

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結局,オンラインカジノは適法なんですか? ――違法です!

■今回のテーマ

先日,「日本でオンラインカジノをしたら犯罪なんですか?」という質問を受けました。

 

と言うわけで,今回のテーマは「日本国内でオンラインカジノをした場合の賭博罪の成否」です。

 

このテーマについては,ネットで,色々な情報が流れているみたいですね……。

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訴訟を提起すること自体が違法(不当提訴)になる場合って,どんなときですか?

■今回のテーマ

いわゆる「不当提訴」や「スラップ訴訟」と呼ばれる訴訟提起が行われたとして,訴訟を提起した原告*1に慰謝料の支払いが命じられた,というニュースに接しました。

 

長野・太陽光発電所:批判封じの提訴、正当性欠く - 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20151029k0000m040186000c.html
「長野県伊那市の大規模太陽光発電所の建設計画が反対運動で縮小を余儀なくされたとして、設置会社が住民男性(66)に6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、長野地裁伊那支部であり、望月千広裁判官は請求を棄却した。」
「さらに望月裁判官は、男性が『反対意見を抑え込むための提訴だ』として同社に慰謝料200万円を求めた反訴について、『会社側の提訴は裁判制度に照らして著しく正当性を欠く』と判断し、同社に慰謝料50万円の支払いを命じた」

 

スラップ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/スラップ

 

 

 

というわけで,今回のテーマは,「訴訟提起が不当になるのは,どんなとき?」です。

*1:正確には「反訴被告」です。

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